第113章 二人。
★★
皆で帰ってからミーティングをしようと言っていた時だった
大我は氷室さんとの兄弟の証でもある指輪のついたネックレスを無くしてしまったといって試合会場に戻っていった
私たちも手分けをして大我のネックレスを探してた
「無いなぁ・・・・」
どこいっちゃったんだろ
「出てこぉーい」
なんて言って出て来てくれたら苦労しないか
やっぱり試合してたコートの方かな?
あっちは大我とテツ君が行ってるだろうけど・・・
行ってみるかな
そして私はコートの方へと向かって歩きだした
でも、すぐに歩く足を止めてしまった
遠くの声や音が聞こえるのは、決して良い事ばかりじゃない
前から向かってくる足音に、自分の背筋が強張ったのがわかる
私も本当にどうかしてる
怖いと思うのに・・・
会いたいと思うなんて・・・
私が会いたがっている彼の姿はもう・・・どこにも居ないのに
それでもきっと・・・
明日の試合でバスケの楽しさを思い出してくれたら・・・
バスケが楽しくて大好きだった頃の彼に戻ってくれると・・・・
「赤司君っ!!」
前から歩いて来る彼に思い切って声をかけた
赤司「・・・・・」
「・・・・え・・」
笑いかけちゃいけない、触れちゃいけない、そう赤司君と約束をして・・・それを何度も裏切った
それでも赤司君は私のことを見捨てないと・・・
心の底でそう安心してたのかもしれない
首を絞めるほど・・・
自分のモノにしたいと思うほど・・・
彼は私を裏切らないって・・・
初めてだった・・・・
私を目の前にして何も言わずに通り過ぎる赤司君を見るのは
このときやっと気づいた
赤司君は私を見捨てたんだと
きっともう
私の気持ちは届かない
私をと呼んでくれることは無い