第8章 裏/どこにいたって
抗争の騒ぎを納めて、蓮巳に報告をさっさと済ませた足であやのところに行った。ここしばらくは一緒にいられなかったこともあって我慢できなかった。
「ぐっすり寝ちまってんな。俺のせいだけど」
俺が欲しがってるのがわかってたかのようにあやは俺を受け止めてくれた。おかげで俺は久しぶりなこともあって歯止めが効かなくてあやを貪った。仕事上のけじめもあってあやにキスマークをつけたくてもつけられなくて、それがつらくて思い切りあやをいかせてしまった。しまいには気を失わせてしまった。
が、終わって後片付けやあやのケアをしてから、自分で避妊のことを忘れて中出ししまくっていたことに肝が冷えた。
「もし…そうなれるなら…俺の嫁さんになってほしいんだがな…」
もしもこれで子どもが出来てしまっても、俺は構わないと思ってしまった。それであやを名実ともに自分のモノに出来るなら…
それと同時にあやをカタギでいさせてやれない、お天道様の下を歩かせてやれない、順番を間違えてしまうことに後悔しそうな自分がいる。
「あや…」
それでも俺は、あやのことが好きなことに、愛してることに嘘はつけない。
「ん…くろうさん?」
「どうした? 寝れなかったのか?」
寝てたはずのあやが朧気に瞼を開けて俺を見上げていた。これだけだととてもじゃないが同い年の女とは思えないくらいあどけなくて可愛らしい。
「もうかえる?」
「いや、まだ、帰らねぇよ?」
「…いっしょにねよう。やすもう?」
掛け布団を捲られて、誘われてしまった。いや、セックスの誘いじゃないのはわかってる。それもそれで唆られるが、あやにこんな風に誘われるのは初めてで年甲斐にもなくドキッとした。
それに片付けも終わって、寝ようとしていたところだ。この魅力的な誘いは受けない他ない。
「おやすみなさい…」
「あぁ…おやすみ…」
布団に潜り込んであやを抱き締めると、自然と眠気に襲われた俺はそのまま眠気に従うことにした。
「貴方といられるなら、私はどこにいても幸せなんだけどな…」
あやに独り言を聞かれていたとはつゆ知らず…