第8章 裏/どこにいたって
スナックの営業が終わって、お店の子達を帰らせてから1人で売上確認を終わらせていると裏口が開いた音が聞こえた。
「おかえりなさい、紅郎さん」
「ん…ただいま。あや」
入ってきたのは、常連の鬼龍さん。だけど、本当は違う。本当はここのオーナーをしてる紅月会の三柱のうちの1つ、鬼灯組の組長さんだ。
私がここのママを引き継ぎする時に先代のママさんと紅郎さん本人に教えて貰った。そして私はママになってから紅郎さんと恋人をしてる。でも、こうやって恋人として会えるのは営業の終わったここか、紅郎さんのマンションか私の家かだった。
「今日はお疲れだね? なにか飲む?」
「…いらねぇ。ちょっとこうさせてくれ」
後ろから抱き締められて、その腕に手を重ねて、胸板に頭を預けた。少し汗臭い、あと少し焦げ臭い匂いもする…でも、それ以上に紅郎さんの温もりが心地良いのが勝る。
「あや、上に行かね?」
「ご指名?」
「その言い方やめてくれ。今はあやでいっぱいになりてぇんだよ」
「いいよ」
立ち上がろうとしたら、紅郎さんに抱き上げられてしまった。
スナックの上は住居スペースになっていて、引き継ぎの時に引っ越してきたのだ。
そのまま紅郎さんに家まで連れて行かれて、手馴れたようにベッドに寝かされた。
「シャワーとかいい?」
「据え膳しろって?」
「紅郎さんが構わないならいいけど、臭かったらごめんね?」
「あやはいつもいい匂いだよ」
紅郎さんが上にのしかかってきて、そのままキスをされた。
あー、熱いなぁ…
「んっ、んぅっ」
「ん…」
キスをしながらお互いに服を脱がしにかかった。私はジャケットのボタンから、紅郎さんはワンピースのファスナーから外しにかかった。上着からにしなかったのは、まだ脱がせられないから。まずボタンやファスナーから外した方が後が楽なのだ。
「っふぁ、んっ」
キスが終わったかと思えば、胸元を舐められながらワンピースをずり降ろされて行った。ワンピースにパッドを入れてたからすぐに胸が晒されてしまう。
「やらしいな…」
「いや?」
「嫌じゃねぇよ。むしろ美味そう」
「んんっ」