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短編集/鬼の木漏れ日

第8章 裏/どこにいたって


あたり一帯が夜に包まれ、ネオンに輝く街中には未だに人が溢れていた。
その中を歩きながら目的地を目指した。歓楽街の隅っこにあるスナックだ。

「いらっしゃいませ、鬼龍様」
「おう。今日も繁盛してるな。いつものを頼む」
「はい」

中に入ると、それなりに客が入っていた。店員が話しかけに来て、いつも通りに応えてからいつも座ってるカウンターの端っこに座った。

「お、鬼龍さん。今日もおつかれー」
「お疲れ様です。盛り上がってますね」
「そうだねー。今日はみんな楽しんでるね」

常連で顔見知りのサラリーマンのおっちゃんと話しながら、楽しんでいると俺の前にお通しとお冷、いつも頼んでる水割りが出てきた。

「私も混ぜて頂いてよろしいですか?」
「勿論。ママは大歓迎だよ」
「聞かなくても混ざってくればいいだろうに、律儀だな」
「ありがとうございます。だって、楽しそうにしてるところに水を差したくないじゃないですか」

目の前にはこのスナックのママがいた。ママと呼ばれるには若く、可愛らしい顔をしている。が、着ているものの襟口は大きく開いたもので胸元の谷間が見え、ボディラインに沿ったワンピース、そして薄手のカーディガン、それとなく色気があるのだ。

「ママが来たら楽しいに決まってるじゃないか」
「ありがとうございます」
「それじゃ、乾杯と行くか」
「「「乾杯」」」

3人で乾杯をして、のんびりと最近のことを話したりしていた。しばらくしてママがほかの客のところに周りに行った時には入れ替わりで他の子が来てくれたりした。
ここの店は少し前からママが代替わりしたのだが、代替わり前からの常連は変わらず来て、新規の客も店の雰囲気が気に入って常連になった者もいる。これは今のママが昔もこれからも大事にして言ってくれた結果だ。
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