第10章 番外編 美しい風
※※エルヴィン団長目線です※※
彼女を一目みてから、
私は、彼女の虜になった。
気品があり、佇まいも清らかで、
落ち着いた雰囲気、
美しい顔、
そして、何かを秘めた影も魅力的だった。
彼女が、美しいだけではないと知ったのは、
たまたま、ミケに勧められて飲んだ紅茶だった。
優しい香りは、
張り詰めた神経を、緩ませてくれる。
甘すぎない味は、集中力を掻き立てる。
甘すぎると一旦は落ち着くが、
その後すぐに、かえって、
自律神経が乱れるのも、彼女が教えてくれた。
彼女に近づきたかった。
彼女のことを、もっと知りたかった。
その気持ちが、彼女の決して探られて欲しくない、
辛い過去に遭遇するとは。