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人生は常に事件に満ちている【コナン】

第7章 安室透 【安室】


しっかりおかわりまで頼み、一息ついて十華は堰を立った。お会計かなとレジへ移動しようとした梓をひとまず手で制して、十華はカウンター内にいる安室の方へ向かう。
「どうかなさいましたか?」
「あのコーヒーって、普通にいつもこのお店で出しているものですよね?」
「えぇ、コーヒーはもうずっと変えてませんけど…」
答えたのは梓だった。それをきくと十華は頷き、カウンターへ軽く身を乗り出した。
「貴方、コーヒー淹れるの上手いんですね!びっくりしたわ、全然違うんだもの」
「そう、ですか…?」
安室が十華の様子に少々戸惑いながらちらと梓を見ると、彼女はうんうんと頷いた。どうやら先輩のお墨付きのようである。
「ありがとう。いい収穫ができました。梓さん、お会計お願いします」
「あっ、はい!」
にこりと笑って十華はレジへ移動し、会計を済ませてポアロを出た。十華を見かけたランが、やけに上機嫌な様子に小首を傾げたという。










おかわりを飲み終わって少しすると、彼女が席を立った。お会計だと判断した梓がレジへ向かおうとしたが、彼女はそれを手で制してこちらへ向かってくる。なんだろうかと安室は軽く首を捻った。おかわりをしていたくらいだからクレームではないだろうと思ったら、彼女は安室が淹れたコーヒーを絶賛した。ぱちくりと目を瞬かせて彼はそれをきく。最後に彼女が口にした言葉だけ、引っ掛かりを覚えた。
「ありがとう。いい収穫ができました」
収穫とはなんのことだろうか。新しく入ったバイトのコーヒーが美味しいという事だろうか。いや、それだけでは無い気がする。どうもあの視線が気になる。安室は店を出て行く彼女の背中を見つめ、わずかに目を細めた。少し警戒する様子で。だがそれとは別に、心が変な熱さを帯びているような気がしているのも、また事実だった。








「どうだった?安室さん」
「コーヒーがすごく美味しかった」
「え?」
後日感想を訊いたコナンは、こりゃ本来の目的忘れてんな、と呆れ笑いを零したのだった。
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