第8章 原作編《林間合宿》
紫沫SIDE
林間合宿当日!!
今日から一週間、ヒーロー科1年での共同生活が始まる。
「焦凍君、おはよう!」
「ああ、おはよ」
集合場所に着くと既に何人かは到着していて、一番初めに顔を合わせたのは焦凍君だった。
続けて他の子達にも声をかけに行こうとしたところを相澤先生に呼び止められる。
「雪水、例の物だ」
「これって…サポートアイテムですか!?」
「ああ。今朝届いた」
「ありがとうございます!」
「サポートアイテム?」
近くにいた焦凍君が私の手にあるものを見て何なのかと問いかけてきた。
相澤先生から渡されたのは暖房機能がついたサポートアイテム。
ヒーロー科在籍が決まった後、相澤先生にコスチュームがなくても"個性"を使える用に体温調節してくれるサポートアイテムを常備した方がいいのではと相談していたのだ。
合宿まで日がなかったけどなんとか間に合わせてくれたらしい。
持ち運びがしやすい様に今はポケットに入るくらいの大きさだけど、試しに手首に当ててボタンを押すとそこから手首を一周するように装置が出てきてブレスレットみたいになりこれで装着完了。
手首だけに限らず腕や足などどこにでもつけられる仕様にしてもらってる。
「これで少しは"個性"のデメリットが軽減されるといいんだけど」
「合宿中にでも試してみればいいんじゃねぇか?」
「そうだね。一先ずこれは手元に持って置こ」
デザインの確認が出来たから元に戻してポケットに入れていると、どこかで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「え?A組補習いるの?つまり赤点取った人がいるってこと!?ええ!?おかしくない!?おかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なハズなのにぃ!?あれれれれえ!?」
以前食堂で見た物間君だ。
まだB組とはあまり交流がなかったけど、同じ学年なのだからと名前を覚え始めていた。
そして以前と同様に拳藤さんに手刀をいれられ気絶してしまう。
「ごめんな」
「物間、怖」
「体育祭じゃなんやかんやあったけど。まァ、よろしくね。A組」
「ん」
もしこの合宿で話す機会があれば、B組の女の子達と仲良くなれたらいいなって思った。
「よりどりみどりかよ…!!」
「おまえダメだぞ、そろそろ」
「A組のバスはこっちだ。席順に並びたまえ!」
飯田君の声が聞こえてきたところで一先ずA組のバスへと向かった。
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