第3章 Chapter3【お酒は飲んでも飲まれるな】
「何故、我を誘った?」
私が酔いと戦い始めてから数分が経った頃。
ついに毛利さんの悩みを聞き出すのにピッタリなセリフが来た。
……よし、言わないと。
「毛利さんが本を読んでいて悩んでいる顔をしてた」って。
「毛利さんが買ってきた本を見ながら悩んでいるように見えたので……」
「ほう?酒を使って我の口から理由を吐かせようという魂胆か」
よし、言えた。
次に返す言葉は勿論
「ごめんなさい、でも毛利さんが心配だったので」だ。
そしてこの会話を広げることが出来れば、きっといい感じに毛利さんの胸の内を聞くことがーーーー
「まあ、それもそうですが……毛利さんといつまで一緒に過ごすか分かりませんし、これを機に会話を通じて親睦を深めたいなー……なんて」
「……っな……!?」
うん?
今、私の口は自分が思っていたことと違う内容を口に出してしまったような……気のせい?
…………いや、気のせいではないらしい。
その証拠に毛利さんは目を大きく見開いて酷く驚いたような表情でこちらを凝視している。
……何故そんな顔をしているのか、そもそも私は今何か不味いことを口走ったのか……分からないことばかりだ。
「毛利さん?」
「…………」
「あの、毛利さん?」
「………………」
どうしていいか分からずその場で首を傾げれば、毛利さんはふいっとそっぽを向いてしまった。
「毛利さん、あの……私、どうすれば……?」
「………………下戸め、そのまま黙って聞いているがいいわ」
……あれ……?
もしかして、この空気は毛利さんが何かを話してくれる雰囲気……?
よかった、不味いことは言ってなかったってことだよね……よかった………………
「……我………は………………で……」
「………………?」
何故だろう、毛利さんの声がよく聞こえない。
それに視界が何だかクラクラする。
…………これは、もしかしなくても……酔いが完全に回って……………………?