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Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】

第31章 POP HIS CHERRY【赤井秀一の場合】


翌日。the next day…

は若干の身体のダルさを引きずりながらも、秀一に連れられるまま、彼の愛車でワシントン、ニューヨークと観光を楽しみ……彼女にとっては大満足の一日となったようだった。


あっという間に日が暮れて夜になり、二人はホテルの近くのステーキハウスで夕食を取っていた。

明日秀一は仕事があるようなので、この食事を共にしたらワシントンへ帰る予定だ。


フォークとナイフを手に、満面の笑みで分厚い牛肉を口いっぱいに頬張っていたのスマホにメッセージが届いた。
その内容を確認した彼女の顔色は、みるみる冴えなくなっていく……


「どうした…悪い知らせか」

「あー、うん……あの、別れた元カレです……なんか…ヨリを戻したいって」

「…戻るのか?」

「まさか!絶対ない…」

「そうか…」

「はい。でも実は…あの人とは元々いつかは別れなきゃって思ってたんですよね、私、警察官になりたくて」

「ほう…警察官か……成程な…」

「あっ、分かってくれます?愛だの恋だのとは無縁の環境に身を置くことになるので…」

「…よく分かる。見事な志だ」

「ありがとうございます!」

「その反面、勿体無い、とも思うがな…」

「そうですか…?」

「人や地域を守るのは確かに立派で大切な仕事だが…は自分の幸せを望んでもいいんだぞ」

「……うん。まあその辺は…なってからボチボチ考えようかな」

「甘い仕事じゃないだろう?やれるのか?」

「そりゃあ、頑張る…つもりです!」

「…では俺は捕まらんように日々大人しく過ごすとしよう」

「…秀一さんって悪い人なの?」

「未来の警察官にはどう見える?」

「……悪い人じゃないと思う。少なくとも私にとっては、すごくいい人だもん…」

「は人が良すぎる…もっと何事にも警戒心を持った方がいいと思うぞ、警察官になるなら尚更な」

「それ秀一さんが言いますー?」




食事を終え、ホテルの前で二人は握手をし、この二日間の礼を言い合って別れた。

“また会えたら…”の台詞は、どちらの口からも出て来なかった。
本当の所ではおそらくどちらも再会を望んでいるのだろうが。
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