Cherry-pick【名探偵コナンR18短編集】
第2章 お巡りさんの恋愛事情【松田陣平】
ベッドに横になったまま、ぼんやりと天井を眺める。
いつもの見慣れた寝室だけど、窓際でタバコを吸っている人物だけが異常だ。
松田は私の自宅に来たことはあるけれども、寝室に入れたのは初めてで。
と言うよりそもそも、この寝室に誰かを入れること自体が、初めてだ。
彼も同じことを思っていたようだ。
「初めて入った。この部屋」
「・・・初めてだよ、ここに人、入れたの」
「俺しか知らねぇのか、そっか」
ベッドに戻ってきた松田に柔らかく抱き締められる。
なんか・・・こんなの恋人みたいじゃないか。
「なあ」
「なに」
「俺の彼女になってよ」
「・・・松田、まだ酔っ払ってる?」
「なに、今日のことは酔った勢いっつーことで済ます気?」
「そうじゃないの・・・?」
「俺は嫌だね、“今日だけ”にはしたくない」
「・・・」
「真剣に考えてみて?言っとくけど、俺はハナから本気だからな」
「え?」
「お前、俺のこと男として見てなかっただろ?」
「そう、だね・・・」
「俺はずっとお前とこうしたいって思ってたけどさ」
「いろんな子と散々遊んでる癖に?」
「痛いトコついてくるねー・・・生理的欲求を晴らしてただけだって。お前誘ったところで断られんの目に見えてたし」
「そりゃそーだわ・・・」
「でも今日のお前にはなんつーか・・・俺のことちゃんと見て欲しかった」
「・・・初めて松田のこと男だと思った」
今夜の色々を思い返して、また顔に熱が集まってくる。
「まーこれで無事処女卒業だな」
「もうそれやめて!」
「分かった、言わねぇから・・・考えてくれ」
「うん・・・」
END