第11章 珪線石の足音
「ん〜??何照れてんだよ」
お風呂を上がって、私がやると言うのに髪を乾かしてケアまでしてくれてしまう中也さん。
いつものことといえばそうなのだけれど、妙に心の声がデレデレしているし私に甘すぎる。
『リアのこと触りすぎ』
「仕方ねぇだろ、可愛いんだから」
『そんなこと言ったって……あ、な、なんでこっち回ってくるの』
「もうシャツ着てんのにまだ緊張してんの?」
『だってさっきまで服着てなかった!!!』
そう、この男、脱ぐと色気が凄まじいことになる。
いやいや、そうじゃない、ちらちらとあれやこれやを思い出させるようなその身体が見え隠れする服装がいけない。
いっその事Tシャツ……もかっこいいな、全部ボタン止めて……も逆に大人っぽいな。
タートルネックの長袖…………体のラインがかっこいいもんな。
「リアちゃん?」
『へんたい』
「何を今更」
突っ込むどころか開き直られた、なんて人だ。
『もう終わったでしょ、今度こそリアが中也さんの髪乾か「何言ってんだ、あと耳と尻尾も手入れしなくちゃいけねえだろ」んんんんんリアもしてないそんなの、中也さん以外誰もしてないからそれ!!』
「なら尚のこと俺がとことん大事にしてやるからな♪ほら、十本とも出せよ」
『ぱわはら反対』
「それが嫌なら全身オイルマッサージしてや『あ、あんまりずっと弄らないでくださいよ……?』俺としてはつっこむべきところはそこじゃないと思うんだがな???」
小首を傾げるとよちよちされるのでとりあえず甘えておくことにした。
最近覚えてきたのだが、この人は私にこのように甘えられる方が嬉しいらしい。
というか私が何かしてもらって喜ぶのが好きなようで、それが苦手なことを知っているからか上手に甘えられるとよく出来ました、大丈夫だぞと言うように褒めてくれてしまうのだ。
「痛くないか?大丈夫?」
『ん……ぁ、あの、あんまりギュッてされるとびっくりする…………あ、そ、そう』
特にデリケートな黒色の尻尾は特別優しくしてくれるのだが、中也さん的には早く私の身体を治させるべく養生させたいそうで。
「なあ、抗争も終わったしおまえ長期休暇取らねえ?」
『嫌ですけど……?』
「なんで?」
『だって中也さんとお仕事出来なくなるじゃない』
「……明日デート行く?」
『行く〜!!♡♡♡』