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ハリー・ポッターと闇の姫君

第7章 【S・P・E・W】


 ムーディ先生とネビルという異色のコンビを見送った後、4人は一言も口をきかず大広間に向かった。ハリーの両親もあのクモ同様、緑の光線が当たった瞬間、ハッと息をのむ暇もなく死んだのかと思うと、誰も何も言う気にはなれなかったのだ。
 大広間に着くと、ハーマイオニーは相も変わらず料理をかっ込み、また図書館へ飛んでいってしまった。

 それにしてもあの尋常ではないネビルの怯え方、ハリーの両親の死を思い出させる授業、ドラコを動物に変えて痛めつけるやり方、クリスにとってどれもこれも気に喰わない。クリスがムスッとしたまま食事をしていると、おずおずとハリーが質問してきた。

「あ~……クリス?何をそんなに怒ってるの?」
「……気に喰わない」
「何が?」
「あの先生のやり方がだ!!」

 クリスが大きなステーキのかたまりにフォークを突き立てると、肉汁がロンのローブに引っかかった。しかしクリスはゴメンも言わず、深呼吸をするとステーキを細切れにして口に運んだ。
 分かっている、自分ではどうしようもない事くらい。あれはムーディ先生だけでなく、ダンブルドア校長も認めた授業だったんだ。しかし――ネビルの表情と、ハリーの立場を考えれば腹を立てずにはいられない。

「あの先生……私、好きじゃない」
「なんでだよ!すっげぇ授業だったじゃないか!特に最後の『アバダ ケダブラ』を決めた瞬間なんて、超イカしてたぜ!?」

 クリスはそれを聞いて、一瞬ハリーの方を見てからロンを睨みつけた。本気で怒った時のクリスの眼ほど怖いものは無い。ロンは自分が何を言ったのか理解すると、慌てて口を押さえた。

「でも……大丈夫なのかな?」

 コーンスープの皿を前に、ハリーがボソッと呟いた。

「ムーディ先生の授業、魔法省に知られたら問題にならないのかな?」
「そりゃまあ、問題にならなくはないと思うけど……」

 ハリーの方からムーディを心配する声が出た事に、クリスとロンは少々驚いた。しかしハリーはあまり気に留めていないようだった。両親の死を、きちんと受け入れている。少なくとも今のところは。
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