• テキストサイズ

ハリー・ポッターと闇の姫君

第1章 The summer vacation ~Remus~


 漏れ鍋を出て大通りを真っ直ぐ歩き、グリンゴッツ銀行を左手に見て、角を曲がり、フラワー・マシェリと言う花屋を真っ直ぐ横切り、そのまま50mほど道なりにそって歩いて靴屋の隣にある角を右に曲がり、今度は時計屋のある建物を右手に見て、最後にくねくねした細い道をレンガ通り沿いに進めば、やっとお目当ての古本屋さんに辿り着く。

 ここは古本屋『風見鶏』。と言っても、建物も古くお店の看板である風見鶏も古びていて、どこか哀愁漂う外装をしている。しかし、ここは知る人ぞ知る、ある意味では『名店』なのだ。
 今日もこの店の常連客、クリス・グレインは夏休みの暇をつぶすために本を買いにこの店に足を運びに来た。ここはクリスが見付けた店の中でも、かなり多くの品を扱っており、見ているだけでも退屈しない。だがそれだけでは無い、クリスがこの店を気に入っている理由は他にもあった。それは――

「おっ、この本マグルの本だ!裏に『ばーこーど』がある!」

 そう、マグル製品大好き人間のクリスにとって、ここは家の書斎より“お宝”が眠っている確率が高い、実にユニークな場所なのだ。もちろん家の書斎にある本も好きだが、大抵の面白そうな本はあらかた読みつくしてしまった。と、言うのもクリスはあまり家の外に出て遊びまわる性格ではないし、これと言った趣味も無い。となると、自然に読書に没頭してしまうんだが、クリスの場合、大抵『役に立たなさそう』な本を選ぶと言うひねくれた性格をしていた。もちろん役立つ本も読むが、数少ない。

「うーん、何々……『突撃・今日の晩御飯』料理は作る気もしないからこれはパス」

 これでも、クリスはいわゆるお嬢さまと言うやつだ。だから家には『屋敷しもべ』という家事・雑務全般を行う屋敷に住まう妖精がいた。妖精と言っても可愛い者じゃない。背は小さいが耳は大きく、目がギョロッと飛び出ていて、細い体に、麻袋を逆さに被って洋服代わりにしている。
 何故かと言うと、屋敷しもべが洋服を手にしたとき、それは『自由』を手に入れた時をあらわすのだ。また、主人が洋服を手渡す事は、屋敷しもべに免職を言い渡す時でもある。
/ 305ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp