第13章 やっぱり
「じゃあ…えっと。体に、気をつけて…」
「…うん」
「撮影、頑張って、ね…?」
「うん…。あ。ルアー、ありがと。ホント嬉しかった」
「うん」
「…」
「…」
「…じゃあ。お邪魔しました…」
「うん…」
「…」
「…」
「…葉月?」
「あ」
ホントにね、かわいいんですよ。彼女。無意識に、俺の上着の裾掴んでて。
「…ごめんなさい…」
「…ううん」
葉月だって、もっと一緒にいたいって。そう思ってくれてる。俺だってそうだよ?ホントは、今日だってこのまま…。
「…また、来るから」
「…ん」
「大丈夫だから。ね…?」
「……うん」
ぽんぽんって頭撫でたら、ようやく手、離して。それでも、不安そうな、淋しそうな顔は、そのままで。
だから
「…葉月」
「…」
「…」
「ンンッ!?」
抱き寄せて、最後のキスをした。思いっきり。
そんくらい当然でしょ!?だって俺だって帰りたくねえし!もう仕事なんてほっぽって、このまま二人でランデブーしてぇわ俺だってっ。でも…そうもいかないでしょっ?さすがにっ!ホンット不完全燃焼だけど、もう出ないと…マジで時間ヤバイしっ!!
…うん。素敵なプレゼント貰って、おいしい手作りご飯ご馳走になって。たくさん喋って、笑顔見て、笑顔になって。気持ちもお腹も大満足。超超、満たされてるよ。もう入んないくらい。
でも
でもどうせなら、オイラ葉月も食べたかったッ!
くうぅぅぅ~~~…
(やっぱり)残念ッ!!