第3章 愛運の結びまで
同じ様に言葉を出せずに居た信長だが、無言のままスクッと立ち上がり、部屋の襖を力任せにスパーンと開いた。
その音に秀吉はビクッとし、慌てて我に帰って、信長の後を追う様に部屋を出た。
もちろん、家康も一緒に。
何も言わなくても、行く先は分かっている。
勿論茉莉花の所である。
信長の心の中は、早く茉莉花をこの腕に強く抱きしめたくて仕方なかった。
自分の子供を宿した、最愛の人の顔を一刻も早く見たい。
自分ではいつも通りに歩いているつもりだが、いつのまにか二人共追いつけないほどの早足になっていた様だ。
少し後から、置いていかれた二人が追いついたが、少し息が上がっている。