• テキストサイズ

Dearest【降谷零夢】

第5章 離れても


マンションに着いて玄関を開ければ、彼女の靴があった。

「(帰ってきてたのか……)」
『零?』
「あ、あぁ。ただいま」
『おかえりなさい。汗すごいけど……走ってきたの?』
「まぁ、そんなところ。」
『……走るのは構わないけど、ちゃんと水分とってね。』
「ん。」

1度、引っ込んだ愛はタオルと着替えを持って俺の所へきた。

『はい、シャワー浴びておいで。汗だくで気持ち悪いでしょ?』
「……愛。」
『なぁに?』
「……愛……」
『どうし……!』

言葉を遮って俺は彼女を力強く抱き締めた。
言いたくないけど、幸紀との約束を破るわけにはいかない。

「……愛、ごめん…………!」
『……零?』
「……俺はずっと、愛を愛してるから……元の世界に帰ってもずっと……!」
『!……やっぱり、もう帰るんだね。』
「あぁ……。」
『……何となくそんな気はしてたの。私の事は心配しなくて大丈夫だよ、零にいっぱい勇気貰ったから。』

身体を離して顔を見れば、最初の頃とは違って柔らかな笑顔をしている。

『ありがとう、傍にいてくれて。』
「……俺こそ、ありがとう。」
『大好きよ、零。』

返された気持ちに泣きたくなった俺はそっと、愛の唇にキスをした。

『ん……!』
「酷い事言って良い?」
『……?』
「嘘でも俺を忘れて幸せになってくれなんて言えない。他の奴に隣を譲りたくない……ずっと俺だけを想ってて欲しい……!」
『……うん』
「……ごめん、こんな縛る事言いたくなかった。」
『良いよ、縛ってくれて。この先誰と会おうと零以上の人なんか見つからないもの、ずーっと零だけ好きでいる。』
「悪い……!」
『帰ってもちゃんと体調管理してね?』
「当たり前だろ。」
『……シャワー浴びたら帰るのかな?』
「多分、浴室自体が鍵なんだろうから入れば帰れると思う。」
『そっか。じゃあ、早く帰らなきゃね。』

何で、もう少し居たいと思うのは俺だけなのかと。
そんな気持ちが顔に出てたのか、愛は笑っていた。

『ふふ、だって大学生なら課題あるんじゃない?』
「……あ。」
『ほらね?だから早く帰らなきゃ終わらないかもよ?』
「……そうだな。」

名残惜しいが愛から離れて俺は浴室へ入った。扉が閉まる前に見た彼女は泣きそうだった。
/ 56ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp