第18章 天使と小悪魔

　来てくれたの？　妃那ちゃん……

　妃那「翔ちゃんごめんね。私」

　翔「妃那ちゃんの方がひどい目に……あの人私達争わせようと……怪我してんのにすごい執念で向かって来て包丁持って。傍置いたの。妃那ちゃん意識ないんだよ？　思い通りにならないと分かると"チッ"て……その瞬間わずかに残ってた"お父さん"への憧れが消えてなくなっちゃった。妃那ちゃんが可哀想で……私もって包丁握って……」

　妃那「バカな子ね……」

　翔「バカだよね？　……妃那ちゃん、私の事気にしなくていいよ？　潤さんに相談してみる。住むとことか。妃那ちゃんは決まったの新しい学部？」

　妃那「うん。声楽とか音楽関係の!」

　翔「!　っ。妃那ちゃん歌上手だもん!　この機会だから前倒しして、パリに行ったら？　智さん良くしてくれるよ。きっと。早く向こうの空気に慣れるためにもさ、ギリギリじゃなくて早目に……」

　妃那「大丈夫!　8月迄は翔ちゃんと……新しい学校のさ、相葉先生がフリースクールの案内も見せてくれたよ」

　翔「私、何したいか。出来るのか。ゆっくり考えたい。智さん妃那ちゃんをお願いします」

　智「オイラは、妃那ちゃんの事も考えっし。翔ちゃんの事も考える!　一人で抱え込むな!　頼りなよ？　味方だから……一緒にフランス行こう？」

　翔「でも、1年後智さんい居なくなるもん」

　──ー

　雅紀「妃那さん音楽って……サクラ大丈夫？」

　潤「妃那は言う前に考えろよ……言う事言って智さん連れてくし……」

　カズ「おバカだね？　リハビリして高校は卒業しない？　俺も応援するからさ」


　もうダメ!　


　翔「妃那ちゃんが……羨ましいよぉ!」