第5章 「過去の真実」
~ハルツ~
私は、全てガジルに話した。
ガジルは、複雑な表情をしていた。
そして、ガジルは息をゆっくりと吐き出し、いつも以上の真剣な瞳で、私を見る。
「ハルツ、話してくれてありがとう。そして……俺の本当の名は……ヴェグラート・ヴィズだ。」
「…………えっ?」
私は、ガジルの本当の名を聞いた時、とても驚いた。
ガジル……いや、ヴェグラートは苦笑しながら言った。
「気づいたかもしれねぇが……俺の父親は、ベレス・ヴィズ。……親子なんだ。」
衝撃の真実で、私は茫然とヴェグラートの話を聞いていた。
すると、ヴェグラートは苦しげな表情を私に見せ………。
「あんな奴に、父親だとは認めたくねぇ………。」
それは、ヴェグラートの本音だった。
私は、僅かに微笑んで言った。
「……ヴェグラート・ヴィズ。改めて宜しくね……。」
すると、ヴェグラートは笑い私を抱き寄せる。
流石に、私はとても慌てた。
しかし、私の力では振り解けないのはわかっていた。
私は、そのままヴェグラートに身を任せる。
「名前、長いだろ?ヴェグでいい。いや、寧ろそう、呼んで欲しい。」
これは、ヴェグラートの初めての我が儘に聞こえた。
私は、クスと笑い言った。
「わかったよ。ヴェグね。」
「あぁ………。宜しく、ハルツ。」