第17章 心配と欲望
額同士を合わせ、熱を計ってくれる小夜。
どうしよう…可愛くて愛おしくて、何処にも行かせたくなくなってしまう。
不意に宗三の睨みを利かせた目と目が合い、苦笑いを浮かべて小夜の頭を撫でた。
明石「主はん、帰って来はりましたで」
~ * 心配と欲望 * ~
主「お、お帰りぃぃぃぃぃぃ!!!」
私は加州に抱き付いた。
さっき止まったばかりの涙が、またも洪水の様に溢れ出し頬を濡らす。
加州「わ…っと、え…主!?え、何で泣いてんの!?」
亀甲「ご主人様、誰かに泣かされたのかい!?」
燭台切「…っ、主、何処か痛いのかい!?」
違う…違うの!
ただ皆が無事に帰って来てくれて嬉しいだけなの。
想いは巡るも、溢れ出した涙が嗚咽を誘い声を上手く発す事が出来ない。
三日月「ほう……さあ来い、主」
優しく笑い、腕を広げてくれる三日月。
加州の頬に口付けた後、その腕の中に飛び込んだ。
加州「……っ」
加州が頬を押さえ、頬を赤らめていた事など露とも知らず…。
三日月「それ程までに案じて貰えるとはな、俺達も役得と言えよう」
主「み…な、怪我…して…なっ…い?」
三日月「はっはっは、怪我などしておらぬ。だからそんなに泣くな…御主のそんな顔を見ているだけで、俺は辛い」
そう言うと、三日月の顔が近付いてきた。
そして…。
三日月「…ん」
主「ん!?…っ…んんっ…」
皆「~~~~~~!?」
気付けば三日月の唇と私の唇が合わさっていた。
こ、こんなの知らない!!
口付けた後、三日月の舌が唇を割り口内へと滑り込む。
口の中で柔らかく弾力のある舌が、私の舌に絡み付く。
主「ん…っ…ふ…」
三日月「…っ…ふ」
二人の唾液が混ざり合い喉奥に流れ込む、噎せ返りそうな中で三日月の舌が歯をなぞり上顎を滑る様に伝う。
息苦しさの中、背中に甘い痺れの様なものが走る。
三日月「……っ…ん……はぁ」
主「…ふ…んぅ……はぁ…はっ」
漸く離れた唇から覗いた二つの舌を銀色の艶めいた糸が暫しの間繋ぎ、ぷつりと切れた。
気付かぬ内に力の入らなくなった足は、三日月が支えた手で何とか立っていただけだった。
三日月「すまない、あまりにも主が愛らしくてな…辛抱出来なくなった」
蛍丸「む…もう駄目。主は審神者部屋に連れてくから…!」