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私の本丸

第10章 来派




此方を指差し慌てる加州、ただただ見守る国俊と蛍丸。
瞼を閉じて国行の唇に、自ら唇を重ねた。
薄く瞼を開き見れば、痛々しくて目を背けたくなる程の傷が…一つ一つ消えていく。
安心して目頭が熱くなり、涙が一粒頬を伝って国行の頬へ落ちた。
不意に、やんわりと唇が離れた。


明石「おお…き…に」


意外だった。
彼の大きな手が、私の頭を撫でる。
驚き目を見開き、彼を凝視する。


明石「優しゅう…して欲しいんですやろ?ホンマに変わった審神者はんや」

主「…斬らないの?」

明石「斬って欲しいんですか?…って、蛍丸冗談や!落ち着き!」


不意に国行の喉元に蛍丸の刃先が向く。


蛍丸「主に手出しするなら、幾ら国行でも許さないよ…っ!」


うん、普通に怖いよほたるん…。
でも、何より…。


主「よ」

愛染「よ?」

明石「よ…?」

蛍丸「あ、違うパターンもあるんだね」

加州「あーあ、何か俺忘れられてない?主の唇は俺のなのにさ」

主「良かったよぉぉぉぉぉっ」


それから私は、国行に抱き付いて大号泣した。


明石「変わりもんやな、蛍丸の主はんは」

蛍丸「いぇーい、羨ましいでしょ?」

愛染「…ああ、羨ましいぜ」

主「ほい、おいで国俊」


私は両手を広げた。
次は彼だ…あの痛々しい傷は、きっと相当痛い筈だ。
一つ頷いて、国俊は歩み寄ってくれる。


愛染「……おう」

主「ありがとう」

愛染「何で…礼なんて…」

主「国俊が教えてくれたから、国行が折れずに済んだ。本当に良かった…だから、ありがとう」

愛染「変な審神者……ん…」


そして私は、国俊と唇を重ねた。

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