第1章 転生
遠退いたはずの意識が
急浮上していく
目を開けると
広がる世界に違和感がある
明らかに私の部屋ではない
「あ、うぅ」
ここは何処?と
言ったつもりだったのに
口から出たのは
乳幼児特有の喃語
理解し難い現状
確かに私は死んだはず…
と言うことは
死んだ傍から
第二の人生を歩んでいる
と言うことになる
頭が混乱してきた途端
勝手に涙が溢れた
泣きたくない、という
意思に反して溢れる涙と大声
泣きじゃくっているとは
バタバタと足音がしたと思ったら
感じる人の気配
「どうしたの娘娘、お腹空いたの〜?それともおむつかしら…」
「でもお母さん、さっきあげたよー?」
「なんで泣いてるのー?」
私の泣き声を聞きつけた
恐らく母親である女性と
兄弟だろうか…子供が二人
やってきたようだ
私の名前は娘娘と言うのか…
何か中国人ぽい??
と思っていたらいきなり浮遊感に襲われた
どうやらあやそうと
抱き上げられたらしい…
それに驚いていたら
涙が止まった
「あ、泣き止んだよお母さん!!」
「なきやんだー」
「そうね、抱っこされたかったのかしらね」
『あうぅ〜(断じて違う…)』
こうして訳のわからないまま
第二の人生がスタートした