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氷華血鎖【鳴門】

第2章 零部・序説


目立たない様にひっそりと暮らして国医者として働き出したのは。だけどこの国の上層部はアタシが何者かを知っている。



「ぐあっ…」



真っ白な雪の地に真っ赤な鮮血が絵を描く。
そう。コレがアタシ本来の仕事。不届き者を始末するのがアタシの仕事。でもこの主犯が鉄の国内部の者だと知られてはいけない。外部の者と見せかけなければならない。



-ジョアァァア-



湯気立つ熱湯で返り血を落として冷水で清めてから自宅に帰る。



「ねぇね、おかえり!」

「おかえり、ねぇね!」

『………ただいま』



ぎゅうっと脚にしがみついてくる弟妹を抱き寄せる。鉄の匂いはしてないだろうか。血痕は付いてないだろうか。



『まだ朝になる前よ。寝てなきゃ駄目でしょ』

「「だって…」」

『ほら、お休みなさい』



まぁるい小さなおでこにキスを落とせば安心した様に目を閉じる。その様子を確認して静かに布団に寝かせる。
そしてそっと結ぶのは結界の印。





※※※





吹き荒れる風に乗る凍てつく雪は肌に刺さる。この様な環境下で本当に人が住めるのかどうか疑いたくなる程の悪環境。こんな場所にあの子供が居ると。何故、子供に目を付けたのか道中、問うてみたら思いもしなかった答えが返って来た。



「最初は興味本位よ」

「島一つを海に沈める子供なんて面白いだろう?」



面白くは無い、とは言えない。



「島一つ沈める子供だ。決して侮っていた訳では無い」



だから子供相手に大人三人も勧誘に向かわせたと。なのに三人纏めて返り討ちだと。



「そこも重要だが問題はそこでは無い」

「目が覚めたら三人共綺麗に傷が癒えてた。話に寄れば三人共、生死を分ける致命傷だったらしいから」



つまり組織が求めてるのは、その医術。
今も昔も医療忍者は稀少で重要。居るか居ないかで戦況に大きく差が出る。



「敵意は出すな。二度も失敗は許されない」

「「「御意」」」




















→to be continued.
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