第112章 恋愛で※
「ここは、響いてよく聞こえるから良い」
楽しそうで何より。
そう言いたくもなるような笑みを向けられる中、下着の隙間に彼の指が入り込もうとしてきて。
そんな状態でもまだ、私の理性はかろうじて残っていて。
「あ、洗ってからにして・・・!」
流石に雨に濡れたままの体に触れられるのは、少し気が引ける。
それに、このままでは零が本当に風邪を引く。
そうなれば私の責任だ。
疼く体と焚き付けられた心を抑え込みながら、彼の手を押し退けるように引き剥がした。
「洗えば良いんだな?」
「・・・っ」
けれど彼は、それに不服さを出すどころか、更に悪さを増した笑みを浮かべていて。
「じゃあ、ここに座ってくれ」
「じ、自分で洗えるから・・・!」
そんな事まで言い出す始末で。
それは嫌だと必死に抵抗するが、どうやら彼にとって冗談ではないらしく。
結局彼の押しに負けてしまい、体も髪も、隅々まで彼の手で洗われてしまった。
ー
「・・・そんなに離れなくてもいいだろ?」
「だって・・・」
洗われる間に湯船へ貯めたお湯に浸かってみたものの、その隣には彼がいて。
今までこの浴室に2人で入ることはあまりなかったから、妙な緊張感がある。
「ひなた」
私の我儘で入浴剤を入れてもらったが、彼からは今更と何度も言われた。
今更でもなんでも、恥ずかしいものは恥ずかしいのだと言い返してはみたが、結局湯船では距離を取ってしまっていて。
「こっちだ」
「・・・・・・」
まるで、ハロくんにでも言うように。
命令ではないけれど、限りなくそれに近い声色で言われれば、反発する気も起きず。
観念して彼の元へと体を動かすと、背中を彼の方へと付けるように座らされた。