第93章 重ねて※

「れ･･･っ、あ･･･零･･･ッ！」

駄目だ。
達してしまう。

そうしてしまいたいと思っていたはずなのに。

それでも、いざそれが目の前に来ると、少しだけ怖くなって。

ふるふると首を振ってみせるが、容赦しないと言った彼が止めてくれるはずもなく。

「や･･･ぁ、ッあ･･･ンん、ん･･･っ！！」

呆気なく、彼の手で快楽に溺れさせられた。

達するとは、こんな感覚だっただろうか。

そう思えてしまう程、それは久しぶりに、そして新鮮に感じた。

「･･･はぁ、は･･･っ、零･･･？」

上がり切った呼吸を肩でしながら、まだ体はピクピクと小刻みに震えていて。

そんな中、早々にナカから指は抜かれ、彼も何処か高揚したような表情で私を見下ろしていた。

暫く私を静かに見つめる彼に、どうしたのかと尋ねるように小首を傾げると、唐突に体を返され、うつ伏せにされたかと思うと腰を軽く上げられて。

「え･･･、待･･･れ、い･･･」

それが何を意味しているのか、疎い私でも流石に分かった。

固くなった零のモノが当てられたと分かった瞬間、今度は大きく首を振りながら背後の彼に目を向けて。

見えない行為が、何故か。

「待たない」

怖かった。

「っい、ぁ･･･あぁあ･･･ッ！！」

明らかに違う質量。

鳴らされているとは言え、それを簡単に体が受け入れられるはずも無く。

「零･･･っ、れ･･･ぃ･･･ッ！」
「･･･どうした」

助けを乞う様に、後ろへと手を伸ばしながら必死に名前を呼んだ。

零はそれを半ば目を伏せた状態で一息見つめると、手を取り、私の背中へと体を密着させた。

その瞬間にも私のナカで彼のモノは深く入り、ビクッと大きく体を震わせた。

「くる、し･･･」

呼吸が、ままならない程。

ナカを満たされ過ぎていて、上手く息が吸い込めない。

既にナカは色んな意味で限界だった。

でも、体感で何となく分かっていた。

･･･まだ全てが、入り切ってはいない事を。