第1章 : opening
童歌を唄いながら林の中を歩く
蛍の光が提灯変わりになるかの様に二人の行く先を照らす
「蒼は唄がうまいねえ、流石ばばの孫さ」
老婆は蒼と呼んだ少女に微笑みながら頭を撫でる
『ばばさま!ばばさま!蒼はもっと唄いたいです!!』
そう言った少女にもう一度唄おうと老婆は言う
「『通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの 細道じゃ
天神さまの 細道じゃ
ちっと通して 下しゃんせ
御用のないもの 通しゃせぬ
この子の七つの お祝いに
お札を納めに まいります
行きはよいよい 帰りはこわい
こわいながらも
通りゃんせ 通りゃんせ』」
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