第3章 小さくなった名探偵
朝のニュースを見ながら昨日買っておいたサンドイッチを食べる。
よくもまあ事件が起こるものだ。
1年に一度ぐらいは事件事故0デイを作ればいいと思うのは私だけだろうか。
今日のバイトは無しなので家でだらだらまったりしようかな。と思っている。
もしかしたら今日が原作開始かもしれない。
そう私はまだスタートラインにすら立っていなかった。それでも主人公に注意していたのはただの仕事病である。
自分にとって必要か必要ではないか、利益か不利益かそれしか考えていない。自分にとって彼らは不利益であり、必要ない人達で関わってはいけない。
ニュースを流し見していると爆弾事件の速報が入る。
コーヒーを飲みながらなんとなく見ていた。
だんだんニュースを見ているのも飽きてきてテレビを消した。暗くなった画面に自分の顔が映る。その顔には表情がない。
「つまらなそうな顔して、お前笑ったりしないの?」
「面白いこともないのに笑えるわけないでしょ」
壁の中から顔を出したレイを一瞥して鬱陶しそうに眉を釣り上げる。
「それ外でやらないでよ! 気持ち悪い」
「へいへい」
わかっているのかいないのか、返事が適当で鼻で笑う。
「おい横になるなよ。こんな天気のいい日は散歩に行けよ、太るぞ!」
背を向け煩く飛んでくる言葉を無視していると、不敵に笑う息遣いが聞こえる。
「ああ煩いなあ、こんな奴漫画にいんの? てか原作で存在してるのかすら怪しいし」
思わず目を見開く。
「残念でしたあ俺原作にいますー、ただこれは推理漫画なので霊的なものは取り上げられないんですう。残念でしたー」
「人の心ん中勝手に覗くなよ」
「だってお前何考えてるのかわからないし、それにお前の心の中お祭り騒ぎで面白い」
「普通ありもしないところにいるんだからこうなるのも当然」
「なるほど」
「人の記憶覗くなよ」
「………うん、そうだね」
その声は少し震えているように思えた。
寝転がりながらテレビをつけてチャンネルを変える。
警察モノのドラマを見つけそれを見ることにした。
「お前、こういう系のドラマ好きなの?」
「まあね面白いじゃん。主人公が女性ならなお良し」
「へえ」
昼時、ラーメンを啜りながらバラエティー番組を見る。
今日のお題はムカつく女性の性格。
ふむふむと思いながら熱中する恵理香を見てやれやれと首を振るレイ。