第15章 ◎ワガママ
'守れない'
うん。わかってる。
あなたがそうできないことも、
今罪悪感で心がいっぱいなことも、
全て分かってるって、そう思ってた。
ちょっとワガママを言うとね?
守ってほしかった。
どうしても守ってほしくて、
別に女の子と朝までいたとか……
そんなのどうでもいいよ。って思えた。
「?なんか……大丈夫?」
「え、あ…………うん」
同僚である立花くんが私の落ち込みように
なんだか気にしてくれて食事に誘ってくれた。
「あの、さ……デリケートなこと聞いてもいい?」
遠慮がちに立花くんがビールのジョッキを
コトンと置いてそう聞いてきた。
「別れた、って…ほんと?」
「……ほんと、それデリケートなとこだね」
「ご、ごめん!いや噂で、さ、聞いたから」
噂って
私の噂して何が楽しいんだか
'プロポーズされたのに別れたんだって'
'しかも!次はアイドルだよ??!'
'まじで~?'
あ、そこまで言ってないか(笑)
「その大丈夫?俺、なんか……その」
「立花くん、ありがとう。
こういう風にしてくれて、
やっぱり立花くんは良い人だよ。ふふ」
なんて微笑んで、
目の前のお肉にフォークを刺した。
笑顔でいよう。
雅紀が全てじゃない。
きっと変な約束に、
変な過去の約束に縛られてただけだから。
忘れよう。