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最愛 【黒子のバスケ】

第8章 それぞれの場所


今日から日本での仕事を再開させる。

ボスからもらった新品のバッグを持って、いつもはしないけど、青峰くんから貰ったピアスをして今日の仕事場に向かった。

ピアスをしてるだけで、離れてても青峰君と少しだけ繋がっていられるような気がした。

スタジオに着いて、いつも通り控え室に行こうとすると、あたしがアメリカに行くことを話したスタッフさんと遭遇した。

「あ!黒須さんおかえりなさーい」

人懐っこい笑顔で手を振ってくれた。

「無事に戻りました。またよろしくお願いします」

「黄瀬さんの写真の件、落ち着いてよかったですね」


あの記事が出てから、事前に契約してた分の黄瀬君のメイクをしてても周りの視線が痛かった。
やりにくさはあったけど、仕事としてやってる以上やめるわけにはいかなかった。

「うん。でもなんであんなことしたのか分からない。あたしって黄瀬君に対してと他のアクターさんへの接し方って違う?」


「接し方はそんなに変わらないと思います。“黄瀬君”って呼んでるくらいですかね。どっちかって言えば黄瀬さんが話しかけてるからただ単にヤキモチかな。絶対黒須さんどうこうじゃない」

「なるほど……でもそういってもらえて少し楽になった。いずれにしても気を付けなきゃね」

「未だに黒須さんと黄瀬さんの事疑ってる人もいますからね」って小声で教えてくれた。



黄瀬くんの控え室でメイクの用意をして待っていると、いつもと変わらずにニコニコしながら「おはようッス」って黄瀬くんが入ってきた。

「おはようございます。よろしくお願いします」

挨拶を交わしてマッサージを始めた。

「みさきっちそのピアス似合ってるッスよ」


「あ、ありがとう…ございます」

いきなり言われて驚いて一瞬固まってしまって、あやうく仕事中は封印してるタメ口が出そうになった。

「ははは!顔真っ赤」

このすぐ赤くなる顔をなんとかしないと...


「黄瀬さん、黙って前見ててください」

「はーい」

目を細めて言うと素直に前を見てくれたけど、鏡の中の黄瀬君は怪訝な顔であたしを見てる。

「黄瀬さんってなんか変な感じ」

「んー……あの週刊誌の件で、あたしが“黄瀬君”って呼んでたのもいけなかったのかなって」

「でもそれ今更ッスよ。無理に取り繕ったりする方が余計変な誤解を与える」


確かに…それはその通り
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