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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


撮影の始まる直前明らかに機嫌が悪いジェシカも現場に来て撮影のスタートがコールされた。


ジェシカがあそこまで不機嫌なのはきっと大我の部屋にあたしがいたことと、朝の呼び出しに大我が行かなかったこと


1回目の撮影をしてチェックに入るとジェシカからNOが出た


『これじゃダメね。もう一回よ。もっとスプレーと近くないと噴射の勢いが伝わらないでしょ』



2回…3回…………5回………6回


何度とってもOKは出ない

『これじゃイメージに合わないわ』

『もっと近くでスプレーは左右に振らずに固定して』

『違うわ。もっと近くよ』



昨日の打ち合わせにいなかったのにNGを連発してくることに不満を感じるクルーも多くてハンナが空気を変えるためにドリンクを配ってくれた

『ジェシカ、ちょっと休憩しましょ。もう一度イメージを…』

『甘いこと言わないで‼時間がないのよ‼』

『けどこのままやっても体力を消耗していくだけよ…もう一度打ち合わせをして…』


ハンナの説得にもヒステリックに怒るジェシカにあたしもさすがに黙っていられないし大我の胸のあたりもメイクが崩れてる


『大我のメイクを直させて欲しいから…』

『そう…これくらいで崩れるメイクじゃ話になんないわ。うちのメイクに変わって』


あたしの言葉を遮って出たジェシカの言葉にこれまでのNGの目的が分かったような気がした

制汗スプレーは白い粉が含まれている液体を高速で冷却して噴射するから白く跡が残るのを避けるため基本的に離れてスプレーするはず

近い場所で固定して何度も噴射させたかった理由はメイクを故意に崩そうとしてる以外考えられない



もういい…


この現場はやってられない


あたしから断る















『も………』












『おい…こいつ以外が俺に触ったらその時点で撮影は終わりだ。遊びじゃねぇぞ』



あたしの言葉を遮った大我の声は低くて、明らかに怒気を含んでいてビーチで撮影を見ていた人たちまでもがシンと静まり返った。

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