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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


いつもそうだ

みさきは自分が初心なことを盾に、こうやって俺が手出しできねぇときばっか可愛いこと言ってくる
二人の時に言えよ…

無自覚なんだろうけど、わざとやってるとしか思えねぇタイミング


「ダメじゃねぇよ…」


すげー照れるけど、全然ダメじゃねぇ


女のたった一言でこんな風になるなんて今まで一度もねぇのに、みさきに言われるとすっげぇ照れる

柄じゃねぇけど、無自覚に振り回されんのも悪くねぇって思える



「ん…よかったです…」


なにお前が照れてんだよ

言われたこっちのが恥ずいっつーの



赤くなった顔を隠すように背けて、でも鏡が正面にあるせいで真っ赤になってる耳が丸見えで、下唇を少し噛んでる綺麗な横顔も全部見えてる



ホント…かわいーな…



けど照れたりしてても手が止まったりはしてねぇし、目はめちゃくちゃ真剣で、前にマッサージをしてくれた時と同じようにいいところをいい強さでほぐしてくれた


細くて温かいみさきの指に触れられてるのはすげぇ心地いい




「痛いとことか、怠いとことかありますか?」


首を優しく押してくれてた手が肩に乗せられて、強めにさすられるのはマッサージが終わった合図


ここで“ない”なんて答えちまったらみさきに触られてる正当な理由がなくなる


さっきの仕返しも含めて、みさきを引き留めることにした


「あー……そういや昨日の夜、猫可愛がり過ぎたせいか手がちょっと疲れてんだよな」

「なっ‼」

「耳だけ黒くてすっげぇ可愛くて…」


笑いながら話す俺にみさきがさっきとは比べ物にならねぇくらい真っ赤になって、デカい目がキョロキョロ泳いでる

「寝かせてくん…「プライベートなことは極力耳に入れないようにしていますので、手ですね。ホットタオルをお持ちしますので少々お待ちください!!」


追い打ちをかけるように話を続けると、遮られるだけじゃなくてめちゃくちゃ早口でまくし立てて逃げられた



けど…ホント可愛い。
笑っちまう


多分仕事が終わって部屋に戻ったら、いつもの全然怖くねぇ怒り方で「ダメなの‼」とか言ってくんのが簡単に想像できて笑いをこらえるのに必死だった。


あの女がいねぇだけでこんなに気分が違うなら、わがままを押し通してでも最初から共演はしねぇって突っぱねちまえばよかった
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