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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


あたしにはまだまだできない芸当


メイクは近づけている気がするけど、ヘアセットは歴然とした差がある

特にこのシンプルなストレート


熱をかけ過ぎれば髪自体へのダメージが残ってしまう、かといって熱が足りなければ艶もまとまりもいまいちになる。


一見簡単に見えるストレートヘアはごまかしが一切効かない。
基本であると同時に一番の難関でもある



『ダイキは不器用ね(笑)』

『でも、お手入れの順番なんて話したことないのに…ちゃんと見ててやってくれて嬉しかったの』


青峰君がしてくれたなんて言ってなくてもバレてしまうのがパットの怖いところ

抑えきれない頬の緩みを必死でこらえても鏡越しに目の合うパットをかわすことなんて絶対にできない


『惚気ちゃって』

『………これが……惚気……って言うんですね…』

『天下のダイキの彼女がここまで初心とは、みんな卒倒するわね』


初心と言われても……
惚気は聞く側であって話す側にはいなかったから、今のはそんなに惚気たつもりはなくて、正直な感想だった

だって嬉しいんだもん

得意なことじゃないのに
自分は別に急がなくてもよかったのに

あたしが遅刻しないようにって、用意を手伝ってくれたことがすごくすごく嬉しかった。



『だけど、恋愛は周りより二人の意見が大事なの。周りが何を言おうが、二人が同じ気持ちでいるならそれでいいのよ』


青峰君が言ってくれたことと似てる


誰かの常識に当て嵌めなくていい。
あたしたちの関係はあたしたちだけのもので、周りの意見に左右されないで、二人で決めて、二人で進んでいく

今あたしは、自分の思う精一杯のところで青峰君が好きで、溢れる気持ちをどうしていいのか分からない程青峰君が好き


『同じ気持ちで、同じ方を向いていられたら嬉しいです』

『大丈夫よ。ダイキを信じなさい』



恋愛も仕事もあたしはまだまだ半人前以下

だからアドバイスは聞いておいて間違いはない
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