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最愛 【黒子のバスケ】

第26章 狂気の連鎖


チームのミーティングを終えて、それぞれが持ち場に戻るのを見届けてから、あたしも自分の仕事に入る為、カレンにメイクをする定位置に戻って準備を始めた。


メインカットに続く次のカットは、青峰君とカレンの距離がすごく近い。

演技と分かっていても、二人が幸せそうな表情で並んでいるのを見るのはいい気分ではない。
だけど、さっきチーフが言ってくれた言葉が、私情を抑え込むための大きな錘になってくれた。



休憩を終えたアクターがペントハウスに戻り始めて、カレンがあたしのいるメイクブースに座った。

午前中と変わらず、あたしを攻撃するような言葉や態度は一切なくて、穏やかにほほ笑みながら、次の撮影のカットのイメージが書き込まれた資料に目線を落としてる。


『ねぇ。温度もう少し上げてくれる?』

『寒いですか?』

『すごく寒いわ』

さっき温度を上げていたから、あたしはどちらかと言ったら暑くて、メイクを始める前に着ていたジャケットを脱いだばかりだった。

首や肌に触れた感じで発熱している様子はないし、顔色も悪くない。
体調がすぐれなくて寒さを感じているようには見えなかったから、特にマネージャーや中野チーフに伝えることはせず、メイクをしている場所の温度を上げた。


『撮影の部屋は今よりも温度が低いので、ブランケットが必要であればご用意いたしますが、いかがですか?』

『サラに持ってくるように伝えて』


サラはあたしがメイクをする間、あたしとは距離を取りつつもずっと同じ部屋にいて、あたしとカレンの側にいた。

カレンは自分で伝えることもできるはずで、それどころか、サラは今のカレンの言葉が聞こえていたはずなのにその場を動こうともしない。


伝書鳩のようにあたしを使う、二人の行動の不自然さに違和感を感じながらも、ここでそれを拒否して、変に波風を立てることはしたくなかったから、カレンに言われたとおりにサラにブランケットを取りに行くように伝えた。


『分かったわ』

私の言うことには一切従わなかったサラが、この時初めて素直に返事をした。



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