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最愛 【黒子のバスケ】

第24章 ヴェラザノ・ナローズ・ブリッジ


名前で呼べばいいって…だって…やっぱり恥ずかしいんだもん

「一回呼んでみ?」

「……ぃき」

「聞こえねぇ」

「たまには呼んでるじゃんっ」


前は全く呼べなかったけど最近はちょこちょこと呼べるようになってきた

やっぱり恥ずかしいしぎこちないけど前よりはマシなはず


「たまにだろ。普段から呼べよ」

「……だい……ちゃん……」

「はぁ!?(笑)それじゃさつきじゃねーか。笑っちまうから却下だ」

「あたしも…笑っちゃうかも…」


大ちゃんって…青峰君はあたしにとってはすごい大人の男の人で間違っても“ちゃん”って感じはしない


大我のこともママはたいちゃんって呼ぶけどあたしはもうずっと大我って呼んでるからたいちゃんとか呼んだら笑いそう


「だろ?けどたまにでも呼んでくれんならそれでいい」

「ほんとに?」

「あの手術でお前に万が一のことがあったら、今俺はお前に呼ばれることもヤキモチ妬かれることもなかった。お前が生きててくれんなら苗字だろうが名前だろうがどっちでもいい。ヤキモチ妬きでも華奢でも巨乳じゃなくても身長差があっても俺はお前がいてくれりゃそれでいい」


そんな風に思ってくれてたんだ…

あたしはいつも自分がガリガリで小さくて貧乳なことばっかりを気にしてた

青峰君がそれも含めて好きだと言ってくれても、自分にないものを持った人たちがいつもいつも羨ましかった


だけどあたしがいるだけでいいって言ってくれるなら、必要以上にこのことを気にして勝手な劣等感を持つのはもうやめよう



「だいき…大好き」

「愛してる」



病院にいた時、手術前最後に交わした会話もこれだった

あの時ははっきり見えなかった顔が今ははっきり見えてすごく優しい目があたしを見つめてくれて大きな手が頬に触れた



何度しても大好きなキス


すっかり暗くなってライトアップが始まったのにちっとも帰りたがらないさつきと美緒

ハンナたちは遠くの方にいるのか姿も見えない

それにあたしもまだ何となくここにいたかった


暗くて周りから見られないのをいいことに何度も何度もキスをして…



「それじゃ寒いだろ」

「ちょっと冷えてきたね」

でもこれは想定済みだったからちゃんと薄手のカーディガンを持って来てた
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