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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


そのまましばらく抱きしめ合って、お互いに何も言葉を発しなかったけど、青峰君に抱きしめてもらってるおかげで、緊張して張り詰めていた心が解放されていった。

だけどキスはしてくれなかった


キス、嫌かな…?


そんな気になれないのかな…


あたしがもし逆の立場なら?

もし他の人にキスをされたら、青峰君に対してどう謝ればいいのか分からなくて、きっと罪悪感で潰れそうになる。自分からキスなんてできなくなっちゃう


でも、今あたしはキスしてほしい
青峰君が嫌って思わないならあたしはキスしたい


唇は届かないけど手なら…

たまに青峰君がしてくれるみたいに、薄くて形のいい唇にそっと手を伸ばすと一瞬で捕まってしまった。






ちゅっ…ちゅ……



「ごめん」


ちゅ……ちゅ…ちゅ…


ごめん


ごめん……


_________________傷つけてごめん……



薬指のほくろに何度も落とされる優しいキスと、苦しそうに絞り出された小さく聞こえる謝罪の言葉。

目を閉じて眉間に深く皺が刻まれた顔が苦しそうで、あたしもすごく悲しかった。


いつも強い青峰君がこんな風になるなんて…
強い人は優しいから…
うぬぼれかもしれないけど、青峰君はキスされたことよりも、あたしを傷つけたってことに責任を感じてるんじゃないかって気がした。



「あたし、青峰君に傷つけられてない。青峰君は悪いこと何もしてないんだから謝らないで」

「…んな訳ねぇだろ。俺がだらしねぇからお前が言いたい放題言われて、キスだって避ける方法はあったはずだ。俺が悪くねぇ訳ねぇだろ…」

「思ってても言うか言わないかその人が決めること。青峰君が言わせてる訳じゃないもん。あたし気にしてない。キスだってあのタイミングで背伸びしてたんだから避けられない。青峰君がいくら速くてもあれは無理なの」

「…なんでお前そんな冷静なんだよ」

「だってこれから愚痴るもん。気にしてないって言ったけど、本当はすっごく嫌だ。青峰君はあたしだけの青峰君だもん」

冷静なんじゃない
はらわた煮えくりかえってて、カレンにつかみかかってその口を閉じろって言いたかった。
この世のFワード全てをぶつけたいくらいカレンにムカついてる

だけど、そんなことをするよりも大好きな人に全部包んでもらう方が幸せな気持ちになれるって知ってるから。
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