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最愛 【黒子のバスケ】

第22章 大雨


あたしの質問を飄々とした顔でスルーするなんて、本当に人は見かけによらない
こんな風に人をあしらうなんてお腹の中は真っ黒ね。



『ダイキにねだったの?まさか、自分で買ったなんて言わないわよね?』


答えなかった質問を繰り返したけど、あんな子供のような女にあの靴を与えられる相手が何人もいるはずが無い。
それに、メイク程度の報酬で手にできるものじゃないことくらい分かる。
自分で購入してるわけが無い

『申し訳ありません。仕事場ではプライベートなことを一切お話ししないことに決めております。私物に関してのご質問にはお答え致しかねます』


まさかそんな切り返しで来ると思わなかったけど、自分で買ったならそういえばいいのに、言わないってことはダイキに買わせたことは間違いない。


『分不相応って知ってる?』

『はい。存じております』


この女…相当なタマね
一切表情を崩さないどころか声にも不満を出さない。

まるで感情何てないみたいにあたしを真っすぐに見てる。

まさか、本当に頭が悪くて、あたしに見下されてるって分かってないの?





『その靴も、今の恋人も、あなたには分不相応よ』

『申し訳ございません。わたくし個人の見解を述べるのはメイクの提案を求められた時だけに決めておりますので、それ以外の意見をクライアントに申し上げることは致しておりません。お話が以上でよろしければわたくしは失礼させていただきます』


何なのこの女…
まるでロボットじゃない。

さっきパットと話してた時はニコニコと媚を売ってたのに、このあたしには媚も売らないのね。
あたし達に使われてる側だって自覚がまるで無くて、プロ意識の欠片もない。
私たちがいなきゃ仕事すらできないような立場で、気遣いすらできないなんて……


『それでは明日からの撮影よろしくお願いいたします』


一切表情を崩さず、目線もそらさず、あたしの横を通り過ぎるその女に猛烈な怒りがこみ上げた。









『あたし、ダイキと付き合ってるの。ダイキの恋人は私よ』

『左様でございますか。仕事で知りえたクライアントの個人情報は口外致しませんのでご安心ください』



仮にも自分の恋人にほかの女がいるって分かったのに…


これぐらいじゃ意味がないってこと?
よっぽど自分に自信があるのね
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