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最愛 【黒子のバスケ】

第7章 近づく距離


一人で笑ってたらただのヤベェ奴だから、さっきの黒須を思い出さねぇように必死に笑いをこらえてベンチに座ってると俺を呼ぶ声が聞こえた。






『ダイキだ!』

幼い声と本人を前にしても呼び捨てにする無邪気さに顔をあげると、10歳くらいのチビが俺の方に駆け寄ってきた。
サングラスしてんのに俺って分かるなんて、このチビ中々やるな。

『よう』

『本当に……ホンモノのキャブスのダイキ?』

『偽物に見えるか?』



サングラスを外したらキラキラと目を輝かせて俺を見てくるチビ。
かわいー目してんじゃねーか


『ねぇ、こんなとこで何してんの?』

『好きな女と買い物』

『女の人なんていないじゃん!』

『今は秘密の買い物中だ』

『ふーん。…ねぇ!ここで会ったこと友達に自慢してもいい?』

『今日は言うなよ』

『じゃあサインくれる?』


取引持ちかけてくんなんて、やっぱこのチビ中々やるヤツだ


『今日は言わねぇって約束するならやるよ』

『約束する!』


やっぱガキだな。すんげー単純。

けど、バスケを好きで俺を好きって言ってくれるファンの存在はありがてぇ。

そういうのはガキの方が純粋で下心のねぇ好意が嬉しかったりもする


『どこに書く?』

『これ‼』

バッグパックからペンを取り出したはいいけど書く場所がねぇんじゃねぇのかって思ったらちびはバッグパックに書けって。

可愛いな


『名前は?』

『パーカー』

『約束守れよ、パーカー』

『ありがとう!次のシーズンもその次のシーズンもずっと応援してるから!』

『あぁ』



バッグパックにペンをしまって『フォウ‼』とか言いながらハイテンションで跳びながら走り去るパーカー。

面白れぇな
しかもチビのくせに結構跳ぶ。

つか親どこ行った


パーカーが行く直前、丁度黒須が店から出てくるのが見えた。


けど黒須が話しかけてくるまでは気付かねぇふりをする。

見てたと思われて警戒させたくねぇ
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