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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第4章 15分



「花奏ちゃん!」


名前を呼ばれ、サンドイッチを頬張りながら振り向けば、ヤナギが息を切らして立っていた。駆け寄って、息荒く見つめ、すぐにとなりに座り込み、声を強めた。

「どこに行ってたんだよ、心配したじゃないか!花奏ちゃんを待てど暮らせど全然暗部に戻って来ないから探しに行ってたんだよ?」

そう声を出すのは、黒髪の酉面を頭につけた、同じ日に入隊した男の子で、名前はヤナギ。いつも私に優しくて、落ち着いてるのに、今日はなんだか、様子が違う。

「え!?……そうだったの?ご、ごめんね?でも、どうして?」

「何言ってんだ、花奏ちゃんの家は昨日火事で全焼したじゃないか!帰る家がないのに、これからどうするつもりだったの?」

その声を聞いた皆が反応して、たちまち、こちらに視線が集中してしまう。一気に騒めく声が沸き起こった。

「えーーーー!?花奏先輩の家、火事になったんですかーー?やだーー可哀想ーーー!」

全然可哀想に思ってない顔で叫ぶボタン。何よ、先ほどの仕返し?めちゃくちゃにこにこ笑ってない?

「花奏先輩は、他里から来たんですよね?では、親戚の方とか、頼れる人がいませんよね、確か。どうするんですか?」

テンゾウが、私を心配するように見つめる。

「そ、そうなの…だからさっ、ゴホゴホ…っ!」

「花奏ちゃん、これ、ハイ。落ち着きなよ」

席をすぐにたち、麦茶を入れてくれたヤナギは、にっこりと笑みを浮かべて、私に手渡してくれた。

「あ、ごめんね!ありがと!」

コップを受け取り、一気にお茶を飲み干し、喉の奥がスッとして苦笑いを浮かべた。

「ヤナギ、ありがとう。実はそうなんだ。家が焼けて、全部無くなったんだ……」

真っ黒く砕け散る家を思い出し、寂しい気持ちが広がってしまう。

カカシの家に居候さしてもらうけど、ずっとこのままっというわけにはいかないし……。目が滲むのをグッと堪えて下を向いていれば、ヤナギが何故か私の手を握る。

「え……?」

呆気に取られた私は、意味が分からず、ヤナギを見つめ直した。

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