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《おそ松さん》ただただ望んでいた《夢も現も崩壊系ストーリー》

第2章 ネコネコしい男


私は現在、一人暮らしをしている。
とても小さなマンションで、駅からは少し離れている。
建物自体はそこそこ綺麗だし大通りから離れているから街の中だけど比較的静か。電車で出勤しない私にとってはそれほど不便な場所でもないし、むしろ住み心地の良いところだった。普段は家の近くのお店でバイトして、家での暇な時間は内職や配信業に費やしている。我ながら半分ニートみたいな生活をしているなぁとは思う。
否、ニートというよりはフリーターというべきか。
それでも、人1人で生きていくには十分な
お金は手に入っている。
今のところ生活で特に困ったことはない。
バイトは疲れるけど友達もいるから楽しいし、部屋の中で黙々と作業をする時間も嫌いではない。
配信で好きなことをやったり
色んな人と繋がれるのはとっても楽しくて
苦を感じさせない。
中学生や高校生の頃、働くのって大変なことだって教えられてきたけど、案外こんなものなのか?
なんだか不思議だ。
「ふう、今日は久しぶりにお休みもらったなぁ」
配信してもいいし、ティッシュ作ってもいい。
だけど、せっかくの休日だ。
ちょうどPCのマウスも買い換えようと思っていたし
近くのショッピングセンターにでも行こうかな。


少しラフな格好に着替えて外に出る。
大通りに向かっていくにつれざわめきが大きくなる。
その道中の路地裏。
そこから微かに聞こえた猫の鳴き声。
「っ!にゃんにゃん!?」
謎の言葉が咄嗟に口から漏れ、路地裏をのぞき込む。
しかし、そこにはネコの姿は隠れていて見えなかった。
ネコを隠す背中、紫色のパーカーを着た
『見知らぬ』成人男性がそこにはいた。


(あん?知らないわけがないって?)

その男性と私は目が合った。彼もちょうど帰ろうとしたのだろうか、少し気まずい沈黙が流れる。

「ぁ…………こんちゎ」コクリ
「あ、はい。こんにちは…」

困った時は挨拶。その男性は猫背で
分かりにくかったけどきちんと頭を下げていた…ように見えた。
髪はボサついて目付きが悪い彼を見て
少し怖いなぁと思いながらも私も一礼。

どうやらさっきの人、猫にエサあげていたらしい。
入れたてたっぷりのカリカリを3匹ほどの猫が無性に食べている。
「あんな怖そうな人が…」
そう言いかけてやめた。
否、私の心の中に妙な納得が生まれた。

(いかにも彼らしいよ)
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