《おそ松さん》ただただ望んでいた《夢も現も崩壊系ストーリー》
第7章 待ってる人がいるから
バイトはオフにしてもらった。
私はこの間、ショッピングモールで買ったパーカーを引き出しから取り出した。『パーカー』…それだけで、あの3人の顔が思い浮かぶ。
今日は、あの6人のデート(?)だ。少し恥ずかしい。何も6人同時に来なくてもいいのに……というのは建前で、内心かなり舞踊っていた。遊ばれてるだけかもしれないなと思いつつも、やはり恋愛経験の少ない私にとってこういったイベントは稀で、ドキドキしてしまうものだった。
[同じ顔が6つってなかなかシュールですけどね]
白地にロゴ入りのパーカーだ。太ももが見えて少し恥ずかしいが、下はショートパンツにしてみた。街や雑誌でよく見る可愛い女の子は、ショーパンを履いているのをよく見かける。黒のニーハイソックスもあるから、それで露出を抑えれば…きっと大丈夫なはずだ。アクセントを付けるため、赤いニット帽もかぶってみる。
鏡で全身を見てみる。かれこれ服を試着して数十分。……これは少し無難すぎるだろうか。そこまで背の高くない私だと、下手すれば高校生にも見えるかも…。少し怖いけど、ちょっと冒険してみようかな。
色々なことを考えながら時計に目をやると、待ち合わせ時間の10分前を過ぎていた。
「!!!???ふぁっっ!?」
待ち合わせ場所はあの噴水の広場。私のマンションからだと、普通に歩けば20分はかかる。私はその場にあった黒いリュックサックを背負い、急いで部屋を飛び出した。
エレベーターよりも階段の方が速いだろう。私は4階の自室から階段へ滑るように走っていった。3段飛ばしで降りていく。やがて2階まで着いた私は、フェンスに身を乗り出し飛び降りた。
「よいしょっっ!!!」
私のマンションは、地面からの距離はそこまで高くない。
遅刻しそうな時によく使う私の切り札だ。
着地した足の裏にじいんと痛みが走る、しかしそれは一瞬のこと。私は噴水の広場へ向かって走り出した。このスピードで走れば、ギリギリ10分以内に着く…着くといいな。
突然本気で走り出したせいで、私の心臓はドクンドクンと脈打って、私の呼吸を乱してくる。
あぁ、早く会いたい。
すぐに私の目の前に現れたりしないかな。
私に、早く夢を見させて。
その想いは感情は
私の背中を押してくれる。