第7章 逃走
「あんっ…」
彼の指先が偶然耳に触れ、私は予期していなかった感触に見舞われた。私は、声を上げてしまったことが恥ずかしくなった。
「悠子さん。今の声…。」
「あ、あの、なんか変なの。私。どうしちゃったのかな。」
私は必死に取り繕い、頬に添えられた彼の手をのける。
「ごめん。悠子さん。もしかしたら…。」
彼は何か考え込むような素振りを見せる。
「…ケルス?」
「もしかしたら催淫効果のある材料の効果が強く出ちゃったのかもしれない。」
「催淫…?」
「媚薬みたいなもので、その、身体が敏感になっちゃうんだ。」
「そうなんだ…」
2人の間に沈黙がながれる。
「悠子さん、言い難んだけど…」
「?」
「治すにはかなり強い刺激を身体に与えるしかないんだ。」
「し、刺激…?」
「そう。だからつまり…」
そこでまた彼は黙り込み、頬を赤く染める。
「その…セックスするしかなくて…。」
「えっ…?」
「ごめん!悠子さん!僕が責任もって治すから!」