第10章 終幕
「ここだけでいいの?」
耳は刺激が強すぎるから、私はこくんと頷いた。
彼は無言のまま胸を揉む。
「っ……」
時折、乳首をかすめられ、身体がビクつく。
ついには乳首をなめられはじめ、小さな嬌声が漏れ始めてしまった。
「…あっ……んっ……」
その愛撫はしばらく続き、私は違和感を覚え始める。
おかしい。いつもならもうとっくに別の場所を触られているはずだ。
というより……触ってほしい…。
私は脚を擦り合わせた。
しかし、中心部がうずく感覚が消えるわけもなく、戸惑いが胸の中に広がる。
「ね、ねぇ…」
「ん?」
彼は顔を上げた。手の動きもやんでしまう。
「そろそろ…その…」
ダメだ。恥ずかしい。どうしたらいいだろう。
いつもならすぐに触ってくれるのに。
彼の顔を見上げても、彼は「どうかした?」と言うだけ。
私は興奮したら手を出してくれるかもしれないと思い、キスをした。
「んっ…」
彼のキスよりずっとつたないキス。私が主導権を握るキスは全然魅力的じゃないように思えた。
これじゃダメだと思いながらも、それ以外に方法が考えられなくて、必死に彼の唇に吸いつく。
でもやっぱりダメで、私は唇を離した。
私の頭は沸騰しそうで、彼は絶対意地悪で触ってこないのだと思いながらも、どこかで彼が余裕綽々にそうしているのは私に魅力を感じなくなってるから?とかそういう考えが駆け巡る。
ついに私は涙目になり、「もういいっ」と呟いた。
「えっ」
私がはだけた服を直そうとすると、彼は慌てた様子で、それをとめた。
「ごめんって!」
「も、もういいのっ」
「そんなこと言わないで!ちょっと意地悪したかっただけだから!」
「んっ…!?」
上半身を起こそうとしたが、それはキスをされると同時に失敗した。
間髪入れずにスカートをめくられ、ふとももを撫であげられる。