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ゆるやかな速度で

第4章 3.再会


私達の後ろから、朝練を終えたと思われる白石くんが声をかけてくれる。
私の方を不思議そうに見ている。
そして彼の後ろには多分先程まで白石くんと話していたと思われる男子が、私に話しかけた白石くんと私を驚いた表情でキョロキョロと交互に見ていた。

「えっと…その…挨拶してみたんだけど…大声になっちゃって」
「そやったんか。でもちゃんと言えたんやな。良かったな、【名前】」

そう言って、ぽんっと私の肩を叩いてから改めて私に「おはよう」と告げてくれる。
私も白石くんに「おはよう」と返事を返す。
すると、白石くんの後ろにいた男子が「白石!いつから【名字】と普通に会話してん!?」と驚きながら白石くんに話しかけていた。
そんな2人のやり取りを私はボーッと見ながら、白石くん達が席に着くまでに私は教室の入り口で立ち尽くしてしまう。
立ちつくしていると、私は何人かのクラスの女子に囲まれてしまった。

「【名字】さん、白石くんから名前で呼ばれてるの!?」
「もしかして付き合ってるの!?」

矢継ぎ早に言われる言葉に私は驚いてしまって上手く返事を返せないでいると、いつの間にか私の前まで移動してきていた綾子ちゃんが彼女たちを落ち着かせてくれる。

「みんな、そないに詰め寄ったら答えにくいやん」
「あ!ご、ごめん」
「私達、驚いちゃってつい、堪忍な」

綾子ちゃんの言葉に落ち着いた彼女たちは謝罪してくれる。
私も大丈夫だよと返事を返す。
そして私は簡単に白石くんとの関係を話した。

「付き合ってはいないよ。白石くんは弟と仲良くなって、それで話すようになって」
「そうなんや」
「ビックリしたわー」

彼女たちは口々にホッと息を吐いた。
その仕草を見ただけで白石くんは人気があるのだなと今更ながら私は気付いた。
思い返してみれば自分も図書室で話しかけられた時に綺麗な顔立ちの人だと思ったし、それに話してみて優しくて親切な人柄だと思っていた。
女の子からしてみたら王子様の様な存在になってしまうのも頷けた。

「ビックリしたと言えば、【名字】さん、急に大声で挨拶してどうしたん?」

私がそんな事を考えていると1人の女の子が先程の私の奇行に対して質問をする。
私は先程の自分の行動を思い出して、いくら緊張していたとはいえ酷い行動だったと今更ながら恥ずかしくなる。
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