第13章 11.視線
ゴールデンウイークが明けてからは、慌ただしい日が続くようになってきていた。
来月から始まる府大会に向けて皆は動き出していて、圧倒的にやる事が増えていっていたのだ。
でも、初めての事だらけという事もあるのか、私の本来やるべき仕事のいくつかはレギュラー入りしていない下級生も手伝ってくれていることも多く彼らの練習の時間を奪っているようで申し訳なさも感じていた。
「なんや浮かない顔やな」
「渡邊先生…そんな風に見えますか…?」
昼休みに少しでも自分のやるべき作業をこなしておこうと思い、部室の鍵を借りてからそれの返却をしに職員室へと戻ってくれば先生に指摘されてしまう。
顔に出していたつもりはなかったけれど先生に指摘されたということは表情に出ていたのだろう。
「その…下級生の子に負担が行ってて申し訳ないなと思ってたので…」
「は~、それが表情に出てたちゅーわけか。……気にせんでええとちゃう?」
「でも…やっぱりマネージャーがやるべき事を他の子に負担させるのは……」
「心苦しい…ってとこか?」
「はい」
私が頷くと先生は先ほどまでの真面目な表情からガラリと雰囲気が変わる。