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ゆるやかな速度で

第12章 10.休暇


始まる前は長い時間だと思っていた合宿の時間もあっという間に過ぎ去り、私はゴールデンウィーク最終日である今日は何をして過ごそうかとぼんやりと考えていた。
合宿での時間は私にとって初めて体験することばかりの出来事だらけだった。
その濃密な時間も終わり、一昨日の夜に帰宅したのにまだ家での感覚に戻らずにいてぼんやりする時間が増えてしまった昨日を過ごした私は家族から今日は家の事は休む様にと念押しされてしまっていた。

"休息" と言われてしまうと逆に何をしたら良いかわからなくなってしまい、何となく朝起きてから庭の雑草を取っていれば遥斗に見つかってしまい『休まなあかん!』と言われてしまえば言い返す言葉もない。
家の中も西村さんやおばあちゃんが活動しているので手伝いをしようと家の中をウロウロとしていれば、やんわりと2人にも休息をすすめられてしまう。
今まで家のことを過ごすことの方が多かった私なだけに、こうして手持ち無沙汰になってしまうと本当にどうしていいかわからなくなってしまい、無趣味の様なものなんだな…と苦笑してしまう。

休みの期間に出されていた宿題も合宿に持っていけるものは持っていって終わらせてしまっていたし、それ以外の宿題も計画的に終わらせていたので本当にすることもなくなってしまった私はこのまま何もせずに家の中にいるのもと思い一言告げてから家を出る。
外に出れば午後になっていたのでお日様が天高く登っていて、まだ5月の上旬だというのに初夏の様な暑さに少し参ってしまう。
これからのことを考えると体力をつけておいた方が良いのだろうか…?なんて考えながら私は吸い込まれる様に家から1番近い図書館へと足を運んでいたのだった――。
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