第16章 次は
「…へぇ」
さっきまで可哀想な顔してた先輩が
ニヤッといつものように片口上げて笑う。
「…え」
「…主人公名前、
私でドキドキしっぱなしなんですねぇ。
あ~あ!二宮君、風邪治りそう!」
「はい?」
なんでかいつもの二宮先輩…
いや、いつもより元気な二宮先輩に
戻ったみたい。
「わ、訳がわからないので帰えります。
先輩!治りそうでも
ちゃんと安静にしてて下さいよ
では、お邪魔しました!」
私はまだ体が熱いまま
慌てて二宮先輩の家を飛び出した。
外に出るともう日が暮れかかっていて、一人になると急に疲れた。
と思ったら上から声がした。
「主人公名前~!!」
四階に住む二宮先輩がベランダから身を乗り出して
正面玄関から出た私に手を振っている。
「ちょっと、先輩!
大人しく寝てて下さい!
しかも人が見てますから!」
私は小声で叫んだ。
先輩はそんなことお構いなしで。
「私、諦めずに少しだけ頑張ってみます!」
「え?何をですか?!」
全く話が見えなかった。
「いろいろです!色々!」
そう言ってピョコンと部屋へ姿を消した。