第18章 マーブル味
急いでそこに行って見ると…
衣墨
「……鈴!!!!」
満開の桜の幹に寄り添うように、
異臭を放っている鈴の死骸が転がっていた。
衣墨
「鈴!鈴!!なんで…鈴!!!」
どうして腐っている死骸が鈴だと分かったかと言えば…
俺が嫁として正式に家に迎え入れた時に、
鈴の名に負けないほどの美しい銀の鈴をあしらった"かんざし"を
あげた。
…そのかんざしは鈴の腐り抜け始めていた頭髪に引っかかって光っていたからだった。
衣墨
「付けていて…くれたのか……ゔぅ…鈴…ゔぅっ…
すまない!鈴!!すまなかった!!!許してくれ…」
俺は…
これほどになるまでに見つけてあげられなかった事を…
その"身"を抱き寄せ謝ったが…
もうハエやその虫(ちゅう)が動くだけで鈴がまた動く事はなかった。