第10章 スイーティー味
『佐藤…お主が、
わたしの手の届かぬ異界に迷い込んだと知った時、
この胸がざわめき…とても苦しかった……
だがそれよりも、立派に成長して元気そうなお主を見たら、
とても安心した…』
(…私…元気そうに見えますか?💦)
『佐藤よくお聞き…
もし辛く苦しいことに直面した時は、
あの幼き頃の笑顔にて通過するのだぞ。』
佐藤
「…笑顔で通過…?」
相手は見えない声だけ、
何処に話しかければ正解か分からず
小川の中のボウフラのようなものに話しかける。
『そうじゃ、笑顔があれば人間はどんな事でも乗り越えられるからな。
それに異界の住人も、お主の笑顔には敵わぬから、
危険な事があってもあちらから去るだろう…
それがどんなに冷たい心を持つ者でもな。』
佐藤
「………」
『だから、
この小川から離れ戻る前に
ほら笑うのだ佐藤』