第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
会計は翔ちゃんがしてくれるってことで、
俺たちはそのまま店を出た。
俺はもう一軒行きたかったけど、強引に誘ったら嫌だろうなとか、でも、全く誘わないのも、どうなの?
なんて思ってると、そこへ、さっきのヤツが仲間数人と出てきた。
…マズいな…
案の定、
「智~、俺たちと飲みに行こうぜ~!
あ~、そっちのイケメンさんとホテルしけこむんなら、しょうがないけど~」
連れの男たちが、ゲラゲラ後ろで笑っている。
「行くぞ!!」
こんな場所で、これ以上ごちゃごちゃするのを避けたくて、俺は男たちの隙をついて、智くんの手を掴んで走り出した。
後ろでなんか叫んでいたけど、気にしない!
必死に走って大通りに出たところで、タクシーを拾った。
智くんを押し込んで、行き先を言おうとしたけど。
さて。
どこ行こうか?
ここでもたつくのも恥ずかしいし…
どうする~?ていう顔して隣の智くんを見ると、
「どこでもいいよ…」って…
え~?それってさ、まだ俺に付き合ってくれるって、期待しちゃうよ~?
「俺ん家とか?な~んてね…」
「…いいよ~」
「え」
「遠いの?ここから…」
「いや、10分、くらい…かな?」
俺は飛び出しそうな心臓を押さえながら、運転手さんにマンションの住所を伝えた。
なに??智くんが…?
家に来る~??
まさか…(≧▽≦)
こんなことあっていいの~!?
もう、ここがタクシーの中じゃなかったら、踊り出してたよ!!
舞い上がる俺とは反対に、智くんは俯いて浮かない顔をしていた。
どうしよう///
やっぱ、嫌だった…とか?
舞い上がってた気持ちが、急降下しかけたその時、
「…もう2度と、会いたくなかったのに…」
智くんがボソリと言った。
会いたくなかった…?
それって、さっきのあいつのことかな?
何があったんだろう?
あの、嫌なヤツとの間に…
タクシーは、マンションの前で静かに止まった。