第20章 惹かれる
「いやあああぁぁぁああっ!!!!」
そして屋敷中に響いた女の叫び声。
「大丈夫ですか?」
「ん…。」
セバスチャンが後処理をしている間に、私はバスルームに向かってシャワーを浴びた。
「…」
濡れた髪も乾かし終え、自室に戻った。鏡を見ると叩かれた頬が赤く腫れていた。
「…クソガキ…ね…。」
コンコン…
「お嬢様、失礼します。」
「…何?」
「いえ、手当の方を…。」
「大丈夫。」
そう言っても聞かないことくらい知っていた。私の前に来て、しゃがんだ。
「…私の…大切なお嬢様が……。」
目を細めて私の頬を撫でるセバスチャン。
「…別に痛くないって、へーき。」
「ですが…」
「…」
「…お嬢様…?」
上手く…言い表せないけれど、なんだか心に穴が開いたようだった。寂しいような……苦しいような…。
「セバスチャン。」
「はい。」
「抱きしめてもいい?」
「!…」
「…」
「えぇ、喜んで。」
私はセバスチャンの首に手をまわして抱きしめた。セバスチャンも抱きしめ返してくれた。
「…」
「…」
落ち着く。
さっきまで、人を殺していたとは思えないほど、綺麗な白い手。
「…セバスチャン。」
「はい。」
「……好き。」
「えぇ…私も、好きです、大好きです、愛しております。」