第13章 戻った日常
「おはようございます!ナツキ!」
「おはようございますですだ!」
「記憶、戻ったみてぇだな!」
「おはよう。記憶…?」
「セバスチャンさんから聞いただよ!ナツキは記憶喪失になった、って。でも戻ったって聞いて安心しただよ!」
「あ…そ、そうなんだ。」
なんのことかさっぱりだ。
「そんな所で何をしているのですか?」
「!…セバスチャンさん!」
「本日の業務ですが。メイリンは書斎のお掃除を。」
「は、はいですだ!」
「フィニはお花の手入れを。」
「はーい!」
「バルは…。」
「ニヒッ!」
「…本日のディナーの仕込みを。」
「おう!任せろ!」
「ナツキさんは、ランドリールームでシーツの洗濯をお願いします。」
「はい、わかりました。」
「田中さんは…いつも通りになさってください。」
「ほっ…ほっ…ほっ…。」
「それでは皆さん、持ち場に着いてください。」
セバスチャンが手を叩いた。皆が仕事にとりかかった。
「…」
私はランドリールームに向かった。シーツはいつも、カゴの中に入っている。セバスチャンが取り替えてくれた。
「…」(なんか、久しぶりな気がする…。)
そう思いながらシーツを洗った。
「よし、出来た!」
あとは外に干すだけ。カゴを持って移動をした。
「ナツキ。」
「!…」
後ろから声をかけられ、振り向くと、そこにはシエルの姿があった。
「坊ちゃん。」
「…もう、魂は戻ったのか?」
「え?」
「いや……なんでもない。」
「…?」
「引き止めて悪かったな。」
そう言うと、シエルは行ってしまった。